健一

花いちもんめの健一のレビュー・感想・評価

花いちもんめ(1985年製作の映画)
4.8
1985年 🇯🇵映画 カラー作品。

第9回日本アカデミー賞
最優秀作品賞
最優秀脚本賞
最優秀主演男優賞(千秋 実)受賞。

WOWOWで放送していたので録画して鑑賞。
これは懐かしい!
中学生(?)の頃 土曜の夜の『ゴールデン洋画劇場』にて何度か見た記憶がある。
何十年も前の事なので当然 作品の細部まで覚えていない。
この機会に今回 改めて再鑑賞。

今年、認知症の父 を題材にしてアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品「ファーザー」。
当然ながら本作のほうが何十年も先に作られた作品だが 敢えて言わせてもらうなら本作は 日本版「ファーザー」といったところ。
「ファーザー」に感銘を受けた方、過去に認知症の家族の介護に苦しまれた方、そして 現在進行形 のかた。
是非この素晴らしい作品をご覧になっていただきたい。

ボケが進行していく祖父を抱えた一家が、介護を通して逆に家族の亀裂を修復 絆を深めていく濃厚ドラマ。

私も現在 姉と二人で84歳のボケたファーザーを介護中の身です。
本作で描かれている出来事をほぼ今年実体験しております。
寝タバコで火事🧯を起こし 近所中に迷惑をかける。
夜中に『会社に行く』といって徘徊し着替えて出掛けていく。
留守の間に無一文で家から出て電車🚃に乗って終点まで行ってしまう。
(どうやって駅の改札を通ったのかは分からない)
私の職場に警察から電話があり『お父様を預かっているので引き取りに来てほしい』と何度も言われた。
(その距離 自宅から70km!)
もう、ホントしんどい。
自分の日常の生活は完全に崩壊してしまいます。
だからこそなのでしょうか。
再鑑賞とは言え本作は今の自分に本当に色々突き刺さる衝撃作でした。

本作は認知症と介護を真剣に真正面から捉えた作品なのに、所々エッチなシーンが導入されていて、なんだろう? 逆に癒されてしまった。
『欲望との裏返し』とでも言うか。
そんなに頑張るな😤 って言われているようでエッチな濃厚シーンなのに変に癒されるという不思議な感覚を味わった。
(わたしだけかも? 😅)

本作でボケた祖父を演じた千秋 実さんの圧巻の演技がとにかく素晴らしい。
身体が大きい方(182cm)だから余計にボケた演技に迫力がある。
十朱幸代の普通の主婦であり母なのだが、変に妖艶っぽいフェロモン全開な役柄も何故か『救い』を感じてしまった。

正直「ファーザー」より本作のほうが、リアルで濃厚で衝撃的です。

『ボケてなお、生きるべきか。 生きるなり。』
(劇中の手記より。)



心の中は、誰にも 見えない。
健一

健一