マーくんパパ

インドへの道のマーくんパパのネタバレレビュー・内容・結末

インドへの道(1984年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

大作の巨匠デビッド・リーンの遺作。第一次大戦後のイギリス領インドで司法判事をしている息子ロニーを訪ねる旅に出て来た母親ムーア夫人と婚約者のアデラ。異国の地の文化や人に接する事を楽しみにして出てきた2人だったが、そこで見たものは厳然とした支配者統治民族と被差別現地人との隔絶した反目だった。友好的なインド人医師アジズやイギリス人教授フィールディングが2人をもてなし母娘とも現地人の青年に親しみを覚える。アジズが2人を連れて余り人の訪れない観光地マラバー洞窟を訪れた時に、洞窟内の不思議な反響音に取り乱したアデラの混乱と錯覚でアジズは逮捕されイギリス人との不義密通の罪で裁判に掛けられる…。今一つ釈然としない唐突な裁判告訴、裁判を見届けずに帰国する母の死などあってラストの和解雪解けがすっきり腑に落ちない感はある。ただし冒頭の総督赴任シーンから物量ふんだんに使った絵力ある描写は流石。この後も性愛石像と猿の攻撃、山岳列車、マラバー洞窟の岩稜といったエキゾチックインドに誘うシーンが続々、魅せられます。些細な争いが民族の主権をかけての大暴動に発展する世界の火薬庫は至るところにある。A・ギネス演じる哲学者ゴドボルの様に運命論者で通せる人は少ない。〝白人に惚れる有色人種はいてもその反対はない〟と言い切る白人社会の奢りと昂りは正にこの時代では正論、〝醜い白人の場合でもそうですか?〟と噛み付く弁護士が一矢報いてくれる。洞窟内で2人だけの隠し事が実はあったという方が納得感は増します。それにしてもアジズ役のV・バナルジ、見覚えある親しみ湧く顔と思ったが誰かさんが言ってた渡辺謙に瓜二つ。そっくりショー出演したら優勝間違いなしダネ。