ソロンズの映画って単に「ひでぇ話だ(笑)」だけで片付けられないリアリティと夢があってほんとに心が浄化される(?)。とはいえどのシーンにおいても「これって実のところなんなんだろう」が続くからだいぶ疲弊する。ひとりの感情さえ、自らの偏見を認識できないとはっきりと見えてこないのが彼の映画のすごいとこだと思う。何も映していないように見えて、実はぜんぶ描こうとしているのである。大好きなハピネスほど楽しくはないけど辛い話の割には明るくて落ち込むことはなかった。殺しちゃって大騒ぎしてるシーンなんか色々酷すぎて笑うしかない。気付いたらセックスしてたり(あんなに何も起こらないセックスって存在するのだろうか笑)、全然悪気は無さそうな上に悪く描こうとしてる感じもしない絶妙にリアルな母だったり(毎度のことだが感情が迷子になる)、あるいは輝かしき罪なる団体の輝かしき善意だったり(そしてすごい馴染んじゃって幸せそうなアビバの顔よ)、どのシーンでも笑えたり笑えなかったりするんだが、それで終わってなんかないというか、感情に流されて大事なものを見逃しそうになるってのが常に続いているから気が抜けなくて、またソロンズも明らかに計算して描いているのがみえみえ(ほんとにすごいと思う)なもんだから、結果的になんだか、純粋な視線で混沌としたものをみた、みたいな気持ちになる。それだけで割と満足できるまである。原題もいいけどこの邦題も好き。"Look. He likes you"のTシャツかわいい。欲しい
