しゅうへい

砂の惑星のしゅうへいのレビュー・感想・評価

砂の惑星(1984年製作の映画)
3.0
『デューン/砂の惑星』(1984)
原題:Dune

「西暦10,091年、壮大な宇宙の戦場で──若きヒーローは600万の戦士と愛する一人の女性にめぐり逢った!」

■人類が恒星間帝国を築き、3大勢力に分かれて世界を統治する未来。皇帝シャッダム四世は、レト・アトレイデス公爵に砂漠の惑星アラキスを与える。しかし、それはレトの人気を危険視した皇帝の罠だった。やがてアラキスに着いた公爵一家は、思わぬ襲撃を受ける。

■アレハンドロ・ホドロフスキーも映画化を進めていたが実現には至らなかった作品を、鬼才デビッド・リンチが独自の映像美学で映画化。しかし、最終的な編集権がスタジオ側にあり、意図しない編集などが施されたことから、リンチ監督にとっては不本意な作品になったという逸話でも知られる。

「地球でのドラマは終った。いま、世紀を超えた〈エピック・ロマン〉が世界を翔ける!」

『DUNE』という作品を手軽に摂取できる。が、大長編を2時間で詰め込むには流石に無理がある。ダイジェスト的な駆け足っぷり、展開や結末の荒さが目立つ。登場人物の心の声がダダ漏れ。字幕もなかなか酷い。製作費120億も費やした挙句、様々な制約を課された結果が今作。自身のキャリアで“唯一の失敗作”としている監督が浮かばれない。巷では駄作と評されるが、原作の偉大さや過去に映像化された作品との比較されるが故?単体で見ればそこまで悪くないSF。

古き良きSFの薫り。服装や建物、精密機器は、まさに80年代に思い描かれた近未来。歴史を感じる映像と独特な美的センス、醜悪なデザイン。これはこれでいい。全身を覆うシールドはまさかのマイクラ風ポリゴン。近接戦闘は何が起こっているのかまるで分からない。血色の悪い肌、スキンヘッド、革張りの黒装束姿はまるで『ヘルレイザー 』のセノバイト。CGが使われない時代の「知恵と努力」が好きです。

『デューン 砂の惑星 PART2』(2024)鑑賞後、余韻そのままに予備知識の補填も兼ねて旧作(デヴィット・リンチ版)を鑑賞。最新作(ドゥニ・ヴィルヌーブ版)との相違点や解釈の違いがあって、新旧『スパイダーマン』を見比べている感覚。小説を読むのが苦手で原作未読の為に、こうして映像で理解を深められるのはありがたい。クオリティの差はご愛嬌。割とネタバレが平気なことに気付けた。
しゅうへい

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