不在

女はコワイです/恋する男の不在のレビュー・感想・評価

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)
4.6
主人公の冴えない男、天文学者のピエールは両親に結婚を急かされていた。
彼は端正な顔立ちをしているものの、不器用で間が悪く、人の気持ちがよく分からない。
だからなのか、宇宙や天体にばかり夢中で、地上で起こる些末な出来事には一切の興味がないといったご様子だ。
そんな男が親に言われるがまま結婚相手を探しに街へと繰り出すが、そこで出逢った女性は、彼にとってあまりに「地上的」すぎた。
奔放に人生を謳歌するその女性に振り回され、ピエールは否応なしに地上での生活、重力下での運動を強いられてしまう。
そんな彼の前に、「星」という名を持つ歌手が現れ、ピエールの心は再び宇宙へと旅立っていくのだった。

この作品では、正しいコミュニケーションというものがほとんど成されていない。
特に主人公ピエールの周りでは喋っているのに通じないという状況が多々起きており、彼はまるで地球とチューニングが合っていない宇宙人のようだ。
しかし彼はある事をきっかけに、身近で光っていた星に気付き、なんと窓から颯爽と飛び降りるのだ。
足にはっきりとした痛みを感じながら、彼は文字通り地に足をつけて生きることを決意する。
最後は、ピエールの選んだ道のりがまだまだ果てしないことを示唆して映画は終わるが、宇宙と違って地球では人と人をめぐり合わせる力がはたらいている。
彼らが再び出逢う時は、そう遠くないだろう。
そんなこと言ってる間に、ほら。
不在

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