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女はコワイです/恋する男の一人旅のレビュー・感想・評価

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)
5.0
ピエール・エテックス監督作。

サーカスの道化師、イラストレーター、俳優、映画監督と様々な顔を持ち、映画の師匠であり敬愛するジャック・タチの象徴的シルエットを生み出したことでも知られるフランスの才人ピエール・エテックスの長編監督デビュー作で、盟友ジャン=クロード・カリエールと共同執筆した脚本を基に、婚活男の恋と騒動をコミカルに描写します。1962年ルイ・デリュック賞受賞作。

天文学の研究に没頭している実家暮らしの引きこもり青年が、両親に結婚を命じられたことを発端に、理想の伴侶を見つけ出すべく街に繰り出してゆく様子を描いた“婚活喜劇”で、監督のピエール・エテックス自身が理想の恋に奔走する主人公の青年を軽妙に演じます。

街角で見かけた綺麗な女性に片っ端からアプローチを試みては失敗したり、酔っ払いの肉食系女子に目を付けられ追い回されたり、さらにはフランスの国民的人気歌手に一目惚れして楽屋に押し掛けたり…と非モテ系オタク青年の独り善がりな恋路と騒動をチャップリン等のサイレント喜劇やジャック・タチ映画のオマージュとも言えるユーモラスで洒落た喜劇演出のもと活写した恋愛喜劇の名篇で、運命の出逢いを求めて必死に街中を駆け回ったのに実は意外と自分に近いところに本当の恋は転がっていた…という灯台下暗し的な結末が幸せな余韻を残してくれます。
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