てつこてつ

ヒポクラテスたちのてつこてつのレビュー・感想・評価

ヒポクラテスたち(1980年製作の映画)
3.6
U-NEXTで配信されているとは知らず、うっかりDVDレンタル視聴。よって、4:3の画角。

ATG作品にしては、後味が爽やかだし、いにしえの都・京都の街並みを舞台にしているせいか、1980年の制作当時と現在にそこまでギャップを感じない若者たちの葛藤がヒシヒシと伝わる青春群像ドラマ。

監督・脚本の大森一樹が元は医大生であった事も初めて知ったが、それゆえ、作品の登場人物である医大生同士の会話がリアルで生々しい。

若かりし頃の小倉一郎(この時代の色んなドラマで見たなあ)、阿藤海、内藤剛志、斎藤洋介、キャンディーズ解散後にアイドルから女優に転身した伊藤蘭が、皆、若く初々しい。特に主人公を演じた古尾谷雅人の、ややぶっきらぼうな台詞回し、表情で語る演技は好きだなあ。

ただ、同じ医大生を演じながらも柄本明だけは明らかに老け顔で、最新作「ノイズ」と比べてもそこまで変わっていないというのは、ある意味、笑える。

精神分裂病という放送禁止用語にして古い病名(現在では統合失調症)がおおっぴらに使われている点、病院内や医師、医師の卵たちの喫煙シーンだけが時代を感じさせるが、今見ても心に響く何かがある秀作。

エンディングで主要キャラクターたちのその後をテロップで説明する下り・・何かで見たなあと思ったら「アメリカン・グラフィティ」だ!
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