AONI

華麗なる一族のAONIのネタバレレビュー・内容・結末

華麗なる一族(1974年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

銀行の「政略結婚」内幕話。 大きな野望を、より巨大な野望が呑み込む権力の構図。

本作の原作は73年に行われた太陽神戸銀行合併を基に書かれたらしい。その太陽神戸銀行も後には三井銀行に合併された・・・。 そう思うと、さらなる合併が起こることを示唆する、この作品のラストに薄ら寒さを覚える。

子供達を政略結婚させてきたのと同様に、己の銀行の合併相手まで謀略を巡らして「結婚」に漕ぎつける万俵一族の内幕話。その規模のデカさに圧倒されまくり。「金融再編成」「天下り」「大蔵と日銀の綱引き」など、耳慣れたキーワードの数々。半世紀近く前の作品なのに全く色褪せない題材。というか、こういう政治&銀行の体質はほとんど進歩してないのでは!?

佐分利信、京マチ子、仲代達矢、小沢栄太郎、二谷英明、西村晃、田宮二郎といった、これでもかとばかりに連打される適材適所の豪華キャスト。奇妙な関西弁の酒井和歌子もこの際許そう。男達の汚い野望の世界に、一人輝く女は日本が誇るヴァンプ女優・京マチ子。そんな「我が世の春」の彼女が最後に迎える屈辱の結末。捨てられて取り乱す彼女に向かって、それまで無力な存在であった本妻・月丘夢路のトドメを刺す一言 「こんな時、あなたにもお子様があればおよろしかったのに」 にゾクーッ!! 

自殺に追い込んだ仲代が、血液からやはり実子だとわかりショックを受ける佐分利。おいおい、そんなに疑っていたなら血液ぐらい調べとけよ!!
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