CHEAPGUY

戦争と人間 第三部 完結篇のCHEAPGUYのレビュー・感想・評価

戦争と人間 第三部 完結篇(1973年製作の映画)
3.0
全長9時間以上にも及ぶ日本の中国侵略サーガ完結。
南京大虐殺等ネトウヨ発狂必至の描写もあるが、戦略立案、状況判断、ディシジョンメイキングにおける日本陸軍と政治との無能ぶり、センスのなさはいかなネトウヨも認めざるを得ないだろう。
本編クライマックスのノモンハン事件はソ連の協力を得て撮影されたもの。冷戦真っ只中であったことを思うと制作側の本作にかけた熱意に改めて驚く。中国はまだ毛沢東が生きている時代だ(つまり文化大革命の最中)。
本作が貴重なのは、今日日本で作られる戦争映画は全て真珠湾以降のものだけで、その根本的な原因であった日中戦争をほぼスルーしていることによる。当時は過去の愚行に対する深い反省から本作を撮ったのだろうが、今の我々は残念ながらそのような立場でこれを観ることができない。これは来た道ではなくこれから日本が行く道であるが故。
本作を観る人は、ここに登場する多くの人物の誰に自分を重ねるのだろうか。北大路欣也か。山本圭か吉永小百合か。しかし本人がどう思おうと日本人の多くは高橋悦司扮する五代家の長男なのだ。
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