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M/OTHERのKのレビュー・感想・評価

M/OTHER(1999年製作の映画)
3.6
初めましての諏訪敦彦監督。この映画の説明としてよく目にするワード。脚本なし、即興的演技、監督と役者による構成台本のみ。是枝作品に近い系統かと想像していたけれど、より親しみのある人間らしさが伝わる内容だった。計画性と偶発性を兼ね備えた展開。主演二人の表現力に頼る部分がおそらく大きい。覗き見ているような、目撃者になったような気分。噛んだり聞き返したりするシーンもちらほら。鮮度を保つために、テイクを重ねることはしなかったのだろうと想像する。音量の差は大きめ。不穏なバイオリンの音色。シーンとシーンをつなぎ、心情を表すよう。スパゲティ。おみやげの希望を聞かれてデジモンのおもちゃの説明をする子どもが可愛らしい。微笑ましい親子のやりとり。物件。双方向から提示される「結婚しよう」の言葉。分かりやすい温度差。情緒不安定だったり鈍感だったりする両者の違い。お礼の電話。「遊びに来てね」だけではなく「遊びに行くね」も伝える心意気が良い。雷。洗い物。なかなかに味わい深い余韻。再構築。
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