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昇天峠のimaponのレビュー・感想・評価

昇天峠(1951年製作の映画)
5.0
草月ホール以来24年ぶり鑑賞。ずーっと見たかった。当時は劇場映画は年5本も見れば良い方でブニュエルの名さえ知らなかった。映画よりラテンアメリカ好きとして行ったメキシコ映画祭。まさにラテンアメリカの痴れ者世界でこーゆーの大好きってなった記憶が蘇った。

危篤の母の依頼で遺言書を書くために遠い町の公証人を呼びにバスに乗る新婚のオリヴェリオ。

このバスがなかなか進まない痴れっぷり。出発早々パンクするし山道でバックギアの壊れた対抗車に出くわす。ヤギらを連れた客が途中から乗車、妊婦は産気付き男児を産む、浅い川にはまり牛2頭に挽いてもらう。帰り道では葬儀にも出くわす。乗客の面々も痴れ者揃い、運転手からして暢気でやらかしそう。やけにモーションかけてくるセクシーな誘惑女、その女を狙う市議候補。

出色はオリヴェリオの淫夢シーン、誘惑に動じなかったもののあんなに色っぽく迫られたらそりゃ堪らん。乗客がホーンセクション担当する劇伴の元、バス内がジャングルと化し抱き合う二人の口にりんごの皮、皮を辿ると高所で母親がりんごを剥いている。さらに抱き合ってるとヤギらが邪魔するように登場。誘惑女と新妻が交錯。
目覚めた時に隣の誘惑女が「私の事考えてたでしょう」

バスの運転手が母の生誕祭で途中下車、乗客も招待しての祝宴。トルコ帽の観光客団体の乱入。マリアッチで踊る。歌はサンマルコスには美人が多い。これに誘惑女が私の町の方が美人が多いと自ら売り込むあばずれぶり。運転手は酔って泣き上戸。急ぐオリヴェリオはバスを借りて単独で目的地を目指すが誘惑女も同乗して二人きりで嵐の昇天峠越え。ここでバスがサンダーバードのようなミニチュア特撮になるのも楽しい。まさに国際救助隊が必要な難所。ついに峠で二人は喧嘩の末熱くラブシーンへ。おいおい浮気だぞ新婚さん。

公証人に会えるが高齢のため峠越えは無理と断られるが強欲な兄たちから遺産を守る秘策を伝授される。
ラストが唐突で呆気ないのが残念だが予算の都合ってマジかよ。そんないい加減なラテンアメリカ気質が大好き。

あれからもっと面白いブニュエルにも出会えたが最初に会った作品ゆえに5点満点。
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