てつこてつ

海猿 ウミザルのてつこてつのレビュー・感想・評価

海猿 ウミザル(2004年製作の映画)
3.4
原作漫画は未読、連続ドラマはNHK版もフジテレビ版も未視聴。映画版はオリジナルストーリーで助かったが、第一作って、こんなに昔の作品だったとは・・。道理で、自分が加入しているサブスクでは見つけられなかったわけだ。今回、ゲオで全作レンタルしたので楽しみ。

テレ東なんかで定期的に放送される情報バラエティで自衛隊員を追っかけるドキュメンタリーなんかが度々放送され、結構見ているので、“海猿”と呼ばれる海上保安官の中でも一部の卓越した体力と能力を持った人材のみで構成されたエリート隊員たちの存在は知っていた。でも、この“海猿”という呼び名が原作漫画やドラマから自然とそう呼ばれるようになったとは初耳。

さて、記念すべきこの第一作。海上保安庁全面協力、指導の下で製作されているだけあって、“海猿”入りを目指す若き海上保安官役の俳優陣の所作がしっかりしている。おそらく、撮影前に相当厳しい特訓を受けたと思われ、潜水服を脱いだ上半身裸のシーンも、おそらくドーランでのメイクではなくリアルに日に焼けた肌で、主演の伊藤英明を始め、皆、それなりにちゃんと隊員っぽく見える。ただ、慌てて身体を鍛えた感があって、水泳選手くらいなら通るけど、前述の情報番組などで紹介される本物の海猿隊員の鋼のような肉体を知っていると、ちと厳しい。ただ、この第一作では訓練生で海猿メンバーになれるか否かの過程を描いているのでギリセーフ。

でも二作目以降はもっとパンプアップされていないと説得力が格段に落ちてしまうのでやや心配。

そんな中、やけに体格がいい役者さんが出演しているなあと思いきや、エンディングロールに元ライフセーバーチャンピオンの飯沼誠司の名前を見つけてビックリ。タレント・俳優に転向したとは聞いていたけど、本作で初めて俳優姿を見た。実際に海で鍛え抜いた堂々たる体格は流石だが、演技に難ありなのか、ほぼ台詞が無いってのは、少し可哀想。

にしても、他の仕事の兼ね合いもあって仕方ないのだろうが、耳にかかる髪形どころか、中にはロン毛だったり、ピアスまで付けた隊員役のキャラが登場するのはどうなんだろう?

まさかこのシリーズに伊藤淳史が出ているとは知らず、その体格から言って、どう考えても海猿には合格しないんじゃね・・と思っていたら、ああこうなるのかという展開が待っていた。

この作品、よくよく見ていると、「トップガン」(「ベストガイ」ではない!)の人間関係の構図に凄く似ているね。マーヴェリック役が伊藤英明なら、アイスマン役は海東健。ライバル関係にあるような二人が固い絆を結ぶ過程も似ている。主題歌がジャーニーってのもハリウッド映画っぽいし、結構、合っている。

クライマックスの潜水シーンは、さすがの迫力で見応え十分。ロケ地となった呉市の風景も美しい。

エンディングロールが流れた後に第二弾の告知が入り、いよいよ海猿としての救助編となるので楽しみ。

男臭いドラマだけに、どうしてもヒロイン役を設定したくなるのは分かるんだけど、加藤あいと香里奈とは、時代を感じるなあ。

個人的に第一作で一番ハマリ役だったのは、厳しい教官役をいぶし銀の渋さで堂々と演じきった藤竜也。伊藤英明を抜いての圧勝。
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