'23 夏のホラー/ミステリー祭③
「スキー教室は腎臓や肝臓の大きな 保存庫 だからね」
フランスでベストセラーになったエマニュエル・カレール(本脚本も担当)の問題作[冬の少年]の完全映画化で、クロード・ミレール監督による、
【ミステリー(・ホラー)】(本作をオーバーにホラーと括っても良いだろう)。
【カンヌ国際映画祭 審査員賞受賞作品】。
雪山のスキー合宿にやって来た内気な12歳の少年、ニコラ(クレマン・ヴァン・デン・ベルグ)。
彼は 厳格な父親(フランソワ・ロイ)を恐れるあまり、しばしば残酷な妄想に囚われていた。
そんな時、合宿所の隣町で少年の殺害事件が起こり…。
OPクレジットバック〜
目的地に向かう、ニコラを乗せて父がハイウェイを走る(送る)車を捉える。
その経緯を回想を挟んで簡潔に説明する序盤。
回想として、
父がニコラに語った 臓器売買 の話で、かろうじてジャンルの提示があったって事にしようか。
無事、合宿所に着いたは良いが、
荷物をトランクから出し忘れたまま父が帰ってしまう、、
迎えてくれたのは、美人のグリム先生(エマニュエル・ベルコ)。
パジャマが無い⤵︎
イジメっ子のオドゥカンが快く貸してくれた。
彼とは直ぐ親友に。
パトリック先生
(イヴ・ヴェローヴェン)が、切れ落ちた時に願いが叶うという ミサンガ を特別にくれた。
初夜、
合宿所に数人の白覆面男達が森から現れて機関銃◯◯‼︎
過激な◯◯でも、しっかり少年らしさを出していて良き(ヘビィな事態なのにユーモラス)。
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ずっと地味かと油断していたから唐突に「おっ!」となった。
TVから流れるショッキングな◯◯、、
その続きで、
グリム先生からの 慰めキス の続きが見たかった〜。
ニコラとグリム先生
http://franc-parler.jp/local/cache-vignettes/L300xH201/19_clement_van_den_berg_emmanuelle_bercot_1_72-f8cbb.jpg?1690323234
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エマニュエルは、監督もしたりと中々の才女。
人魚姫 や 猿の手 の寓話
をモチーフにしてテーマにアプローチしているのが明確だ。
特にニコラが手にした本、恐怖物語の中から 3つの願いが叶う とされる、猿の手 に関しては、ニコラの妄想として両親を使って映像化されていて見どころに。
ここでもその劇中、グロいけれども ユーモラスなグロ というのが特徴。
この残酷な妄想もニコラの親に対する残念なイメージの具現化なのだろう。
そして、ニコラの見る悪夢や妄想は切なる◯◯だ‼︎
終盤は、
現実として臓器売買にまつわる少年◯◯事件が起きる。
ニコラの弟は、
臓器売買事件の過去の被害者で、父は復讐に燃え、独自にずっと捜査をしていた。
ニコラは、
雪の日に妄想いや、現実に犯人らしきを見た⁈というのだが、、
(ブルーのフィルターの雪景色も映像美)。
夢遊病と誤診⁈されてスキー合宿には不参加。
合宿所に警察も入る。
衝撃的且つ残酷な結末 の前にしれっと見せてしまう結末。
ミサンガが◯◯た、、
(先述のこの小さなアイテムの使い方、タイミングが絶妙)。
完璧な無言ラストカットは、
テーマの総括アンサーだ‼︎
賛美歌のEDロール。
総評:
多感な時期の主少年
(大人は判ってくれない)を主人公(視点)にしたという意味でも中々のオリジナリティを持つ幻想的且つ、おフランスらしい知的系アプローチのミステリー/スリラーと評価。
同じくフランスの
【ハリー、見知らぬ友人】ぽさも有り、
妄想〜リアルを上手く溶け込ませている脚本、
ロバート・アルトマン監督の【イメージズ】の影響もあるかのもしれない(あれ程マニアック、緻密ではないが)。
フランスならではのロケーションも好み。
派手なモノを求む者には不適合だが、
絶賛する者は絶賛する逸品で、好みか否かは賞味するに限る。