カタパルトスープレックス

女の一生のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

女の一生(1967年製作の映画)
2.5
野村芳太郎監督によるメロドラマです。モーパッサンの小説が原作です。いまの時代とは少し違う価値観(だと思う)なので、時代ドラマとして見ることもできるかもしれません。

田舎の箱入り娘(岩下志麻)が東京のスケこまし(栗塚旭)に騙されて結婚してしまう話です。スケこましは女中(左幸子)とも恋仲になって妊娠させてしまいます。女癖の悪さは治らず、浮気相手の旦那に撃たれて死んでしまいます。箱入り娘もスケこましの子供を妊っており、誕生したのがロクデナシの道楽息子(田村正和)。とことん男運のない箱入り娘だが……と言う話です。

モーパッサンの小説の舞台を日本に移しただけで、ほぼストーリーは同じです。「女の幸せとは?」がテーマだと思います。ただ、女性(と言うか人間)の幸せの定義って時代によって変わります。モーパッサンや野村芳太郎の時代には他人との関係性の中に幸せを見出したんだと思います。妻と夫、母と息子。依存性が高い。いまはもう少し「自己実現」が幸せの尺度になっているんじゃないですかね。だから、現代の女性はこのストーリーにあまり共感できないんじゃないかなあ。そんなダメ男たちは捨てておしまい!って感じで。当時の価値観を写す鏡としては意味があると思うけど。

この映画を観た目的は先日お亡くなりになった田村正和の若い頃の演技です。『今年の恋』(1962年)ではクソ生意気なボンボンの高校生でした。それから五年後の本作ではロクデナシの道楽息子。役柄的にあまり進歩がない😹😹😹。ただ、演技的にはかなり田村正和っぽさが出てきたと思います。顔つきもだいぶ田村正和っぽい。だからどうしたって話ですが。