nagashing

集金旅行のnagashingのレビュー・感想・評価

集金旅行(1957年製作の映画)
5.0
これはいい茉莉子。というか結婚してくれ。あらわになった足や背中にもガッツポーズだが、しかめっつらや「ちぇっ、しょってやがらあ」なんて悪態もたまらない。
作品全体としては、ひょんな事情から面識のない男女が男の子を連れて中国四国をめぐるロードムービー。クライマックスは徳島の阿波おどりで、これはほとんどセックスのメタファーだ。旅をとおしてすこしづつ距離をつめてきたふたりの気持ちが、花菱アチャコの存在感と強引さ、そして運動の快楽のまえに一蹴されてしまう。
映画がいつか必ず終わるのとおなじように、彼らの旅路と家族ごっこも終焉を迎え、擬似家族は離散する。全編カラっとした作風のコメディだが、最後にわずかなやりきれなさも胸にのこる。
けっして一線を越えようとしないヘタレなハンサムを佐田啓二が好演。あんなかんたんに「やきもち」を捨てるなんて、ぼくにはとてもできそうにない。ちくしょー。
nagashing

nagashing