りっく

時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日のりっくのレビュー・感想・評価

4.0
当時これだけ脂ののっている各国の映画監督を揃えただけで凄い。そして各々五輪で興味のある部分を題材に、でもやはり各監督の特徴が刻み込まれている。五輪の魅力を多角的に浮き彫りにしている。

白眉なのはミロシュ・フォアマンとジョン・シュレシンジャーのパート。十種競技の見せ場とオーケストラが演奏する「喜びの歌」の盛り上がりをシンクロさせることで、古代ギリシアの精鍛な体つきの神々の神々しさと選手をダブらせることに成功している。

シュレシンジャーのパートは選手のインタビューを交えながら、まるでドキュメンタリータッチの劇映画を見ているかのように見ごたえたっぷり。恐怖を振り払うように走り続ける選手と、心の中でささやく悪魔の声との闘い。過去をフラッシュバックさせたりと選手の主観から世界を描いている。

そのほかもアーサーペンと市川崑は棒高跳びと100メートル走の選手の肉体の細やかな動きを複数のカメラとスローモーションで観察している。これもまた面白い。
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