みかん

パーフェクト ワールドのみかんのネタバレレビュー・内容・結末

パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

父親の優しい面影を追いかけるブッチと、ブッチに父親のように甘えるフィリップ。
誘拐犯と人質だった二人が、心を寄せ合うロードムービー(逃走中)。

大人は殺すし脅すようなブッチだけど、フィリップには盗みは悪いことだし、優しくしてくれた他人にはお礼を言うことを教えたりして、本当の父親のように向き合ってくれる。
ちゃんと家にも帰してくれるって約束してくれるし、最初からフィリップにはすごく優しい。
ハロウィーンもクリスマスも誕生日も綿菓子もローラー・コースターも、母親の教えに従って我慢してたフィリップに、我慢せずにやりたいことはやれよって教えてくれる。

ブッチはいい人間じゃないかもしれないけど、父親が側にいないフィリップにとっては良い人なのは事実。
ブッチの父親も、記録上では根っからのワルだとされていたけど、ブッチの語る父親には優しさもあったように聞こえて、父親を想っているのが伝わってきた。
本当のところはわからないけど、ブッチにとっては良い父親の部分もあったんだなって思えた。
ブッチは、自分と父親の関係をフィリップとの関係に重ねていたのかも。
どちらも、外からみたら最悪な父親とその子供、誘拐犯と人質でしかないけど、二人の間の信頼や優しさは本物なんだなって、心があったかくなった。

終盤は号泣。。。
映画見てこんなに泣くとか久々。
二人の関係がたまらなく優しくてもー!!
フィリップの笑顔は心を救うし、涙に胸を締め付けられる。
その素直な気持ちに同調しちゃう。。。
フィリップがブッチの優しさを引き出してるなとも思いました。
子供の力は不思議だな。

この先、フィリップはもっと自由に自分の意志で進んでいけるようになるだろうな。
ラストのブッチの顔も、どこか晴れやかさもあるように感じました。

素敵な作品でした!




以下は余談。
超個人的なことだけど、本作見て感じたことなので残したくて。

私も10歳の誕生日に母がくれたメッセージカードはいまだに大事に大事にとってあります。
私の成長を喜んで、更なる成長を望んでいる内容でした。
母はもう亡くなっていますが、私が幼いころから闘病していて一緒に暮らせなくなっちゃったので、正直母との思い出って少ないけど、少ない思い出でも愛されてたなってちゃんと感じれてました。
メッセージカードもそんな気持ちを思い出させてくれる。
そういう親子関係もあるって、一緒に過ごした時間だけじゃないって、本作のブッチが絵はがきのメッセージから父親に想いを馳せる姿を見て自分のことのように感じてしまいました。
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