たむ

妻として女としてのたむのレビュー・感想・評価

妻として女として(1961年製作の映画)
4.5
日本映画を代表する巨匠なのに、ソフト化された作品の少ない成瀬巳喜男監督。
一気に4本が初DVD化との事で、その一本を鑑賞です。
1961年の作品なので、映画界は斜陽、松竹ヌーヴェルヴァーグなどの革新的な映像表現への模索もある中で、まさに映画、これぞ映画の持つドラマの重厚さを堪能させていただきました。

ある夫婦と愛人、その子供達の秘密が暴露されるサスペンスの見事さ。
回想はありますが、情報はコントロールされ、観客にはいつそれが暴露されていくのか、とハラハラします。
いわゆるサスペンス映画ではないのですが、クライマックスのドラマの高まり方は凄まじいものがあります。

美術や照明がキャラクターの心理をも表現して、ささやかな移動やスッと影が差す、そのディテールの見事さ。
名作ですね。
たむ

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