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妻として女としてのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

妻として女として(1961年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

小気味良いカットワークに、軽快な台詞回し、カラー映画になって一層極まるライティングの効果。成瀬節満載の本作は、いつものしっとり&後味さらさらといった感覚だけでなく、成熟した感じも受けた。まあ要するに、成瀬ファンの私にとって、控えめに言っても素晴らしい作品であるということに間違いはないのである。

それに今回は自分の好きな役者が揃い踏み。高峰秀子は私が今まで観た中で最も凄い芝居をする人だと思うし、淡島千景の少女のような表向きの明るさとその裏にある真の強さの両方を演じられる人もなかなか見たことがない。それに淡路恵子と来たら、なんであの人に煙草を持たせると、ああも色気のある吸い方をするのだろう。憎たらしいったらありゃしない(もちろん誉め言葉)。

まあとにかくひいきもひいき。どれだけ中立的に観ようとしても、終ぞ観られないのが私にとっての成瀬映画である。嬉しいことに東宝からDVDの新作がまだまだ出るようだし、作品数の多い成瀬映画ではあるが、とことん見尽くしたいものだ。
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