emily

オードリーのemilyのレビュー・感想・評価

オードリー(2011年製作の映画)
3.4
高校三年生の優子は、同じクラスの遠山に思いを寄せているが、親友の絵里も彼のことが好きで、告白すると言い出す。文化祭を前に、まずは優子が遠山と付き合い、彼の好みを探ることになり。。

日々の高校生の日常を光りに包み、細部の細かい仕草にこだわり、リアルと隙間の可愛さをしっかりすくい上げている。懐中電灯の青白い明かりが、青春の青さと交差し、駆け上がる足元の軽さのショットや笑い声にピアノの調べが寄り添い、PVも見てるようなどこまでも女子高生が溢れてる。

印象的なのが斜めカットが捉える男女の微妙な心情の変化や、長回しでしっかり見せる男女の会話の距離感など、疑似恋愛の描写だ。

特に斜めに捉えるカメラワークにより、2人の距離感が立体的に浮かび上がり、力関係や心情のバランスなどを絶妙に表現してるのが面白い。そこにカバンの持ち方や何気ない仕草が交差し、田舎の一本道を永遠にも、短い道にも見せる。

取るに足らないような何気ない日常の一コマ、チープな言葉のやりとりやフォークダンスなど、逆にセリフ調過ぎる親子の会話なども、違和感感じつつもそれが逆にリアリティとみずみずしさに繋がり、何気ないシーンが印象に残る。

過ぎていく日常の中であっけなく描かれるラストへの流れも自然体で、音楽に溶け込むようにさらりと終わっていくのがいい。一週間後くらいには好きだった遠山のことなんて忘れて違う男の子がかっこいいなんて言ってるんだろうな。でもそれでいいし、それぐらいがいい。いつか振り返った時、あの情けないフォークダンスも良い思い出なんだろうな。
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