むうぴょんこ

立喰師列伝のむうぴょんこのレビュー・感想・評価

立喰師列伝(2006年製作の映画)
5.0
【押井節満載の超難解で理解しずらい”立ち喰い文化”を
 考察する傑作】

先ほど、かなりマニアックで難しい『AVALON』をレビューしたので・・・今度はもっとマニアックで普通の方には到底理解できない、最強のマニアック作品をご紹介しましょう!!

皆さん、大きく深呼吸をして・・・では、行きますよ(笑)

【本文】
皆さん、たまには大切な方と一緒に、一覧では到底理解できないディープでマニアックなテーマを持った作品を見て、不思議な感覚を共有してみませんか??

そんな今回は2006年に公開された独特の世界観を持った押井守監督作品の『立喰師列伝』をご紹介します。

実は作品の選択と粗筋、評価を担っている彼女は、本作は難しすぎて評価できないと言っており・・・今回は私の独断と偏見でレビューさせていただく事を最初にお断りしておきますねっ(笑)

そんな難しい本作品のテーマは表題にも有るように、ずばり『立ち喰い』です。

立ち喰い・・・懐かしいですよね?
このレビューをお読み頂いている皆さんの中には立ち喰いなど知らない方もいらっしゃるのでは???

今はもう無くなってしまいましたが、有楽町駅の東南側のイトシアプラザが出来る前にあった今にも崩れそうな汚い立ち食い蕎麦屋で、月見蕎麦に関東風のザラメと醤油がガンガンに効いた出汁にコロッケをどっぷりと漬け込み、盛り放題のねぎをてんこ盛りにすると・・・

ねぎのシャクシャクとした旨みとコロッケのふんわりとした食感、そして口の中になだれ込むシコシコした蕎麦と甘辛い出し汁に絡んだ卵のとろみ感が絶妙で・・・

その瞬間こそ至福の時であり、日本街頭食文化の極みだと思いませんか??
ねえ・・・言いすぎ?言いすぎかな??←SPEC風に(笑)

そんな本作品は戦後から爆発的に成長した外食産業に焦点を当て、そこで生きていく様々な形態の”立ち喰いのプロ”をドキュメンタリー風に紹介している異色作品となっています。

しかし”立喰師”と聞いてもピンと来ないですよね??

説明すると彼らは蕎麦やハンバーガー、牛丼やカレーなど個々に特化した食域において様々な技を用いて無銭飲食を行うプロなのですが・・・??(謎)

ここまで書いておきながら・・・実は”立喰師”など存在しないのです。

全ては押井守監督の創作であり、原典は”うる星やつら”の122話、”必殺、立ち食いウォーズ”から長年練り上げてきた構想を一つに纏め上げた作品なのです。

本作はそんな架空の立喰師達をメインに据え、彼らの活躍した時代背景と共にこれまた架空の立喰研究家の考察を交え、まるで学術書を読んでいるかのような不思議な構成で話が進んでいきます。

そんな分かり難い本作品の予告をまずはご覧ください。

【Youtube ”立喰師列伝予告”】
http://www.youtube.com/watch?v=vsTp2LKQbCk

凄く格好良くて興味をそそられませんか??
この画は”スーパーライブメーション”と呼ばれ、CGを人形劇風に作り上げた画期的な押井監督考案の独自手法です。

”ケツネコロッケのお銀”もありましたのでこれもどうぞ!!

【Youtube ”ケツネコロッケのお銀編”】
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&v=iwgy4PmMO0c

参考として登場人物を明記しておきます。

・吉祥寺怪人:月見の銀二(月見蕎麦)
       戦後、闇市で薀蓄と説教でただ喰い
・兵藤まこ: ケツネコロッケのお銀
      (きつね蕎麦とコロッケ)
       昭和30年代、弁舌巧みにただ喰い
・石川光久: 哭きの犬丸(全般)
       押井守監督作品の御先祖様万々歳の犬丸
       プロのなりそこない
・鈴木敏夫: 冷やしタヌキの政(冷やしタヌキ)
       うる星やつら2で出ていた立食いそば屋の
       マッハ軒で撲殺
・樋口真嗣: 牛丼の牛五郎(牛丼)
       集団で予知野屋(吉野家)を襲う
       クラッシャー派
・川井憲次: ハンバーガーの哲(ハンバーガー)
       ロッテリアを襲いキッチンが破綻するまで
       食べつくすクラッシャー派
・寺田克也: フランクフルトの辰(フランクフルト)
       ミンチ肉のネズミやミミズ混入問題の噂の考察
・河森正治: 中辛のサブ(カレー)
       一見インド人にしか見えないが、よく見ても
       インド人にしか見えない日本人??
・押井友絵: ロッテリア店員
       押井監督の愛娘
・榊原良子: 榊原芳子(監察医)
       Z、ZZガンダムのハマーンカーン・・・
       じゃなくて、ナレーション等(笑)
       
どうです、出演者がすごく豪華でしょ??

兵頭まこさんは次作もある関係で役柄と作風があってるので良いとして、河森さんや石川さん、特に川井さんは大丈夫なのって思っちゃうよね??

中でも一番心配になるのが、ジブリの鈴木敏夫さん・・・最高に面白いけどこんな作品に出て本当にジブリ的にOKなのって??

前述したように本作品は解説が多く、話し方や設定も難しい為、非常に難しい作品です。

途中で疲れてしまう方が大半だと思いますので、オススメの部分だけ見るのも良いかと思いますよ?(笑)

私のお薦めは・・・ハンバーガーの哲、中辛のサブですっ!!

因みに本作を何度も中断しながら苦労して視聴した彼女の評価は・・・1点でしたっ(泣)

でもこのような押井節満載の超難解な作風が、私の好みにスッゴクあってて・・・なので今回はイレギュラーで私、むう個人の好みで満点評価しちゃいましたっ(笑)

折角、苦労して評価してくれた彼女には悪いと思っていますが・・・押井守監督は日本が世界に誇れる天才だと思っているので仕方ないよね??

押井守監督全作品が大好きで堪らない・・・むうでした!!
*ブクログより転記