あなぐらむ

NAGISA なぎさのあなぐらむのレビュー・感想・評価

NAGISA なぎさ(2000年製作の映画)
4.3
シネマヴェーラ渋谷の小沼勝特集にて。
ロマンポルノを支えた監督の初の一般映画は小6の少女なぎさ(松田まどか)のひと夏の出来事を、60年代の江ノ島を舞台に描く鮮烈な少女映画。
夏+江の島はやはり日活マークへの想いがあるのだろう。
とても初演技とは思えない松田まどかが走る、走る。泳ぐ、泳ぐ。賢しい演技をしない。凛とした、純なその佇まい。上野昂志さんが言うように、今の邦画状況だからこそ観ておきたい作品。

脇を固める片桐夕子(元小沼監督夫人)と高橋明、根岸季衣がいずれも素晴らしい。
村上もとかの原作を「ステイ・ゴールド」の村上修が脚色。少女の走る姿に力いっぱいの「生」が刻印されている。
ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」の調べが耳に残る。声高に何かを語らない、画が全てを語る、そんな映画。
そういえば「NAGISA なぎさ」にも海の家でラーメン出てくるね。チャーシュー大盛!って。小沼監督、ラーメン好きなのかな。

トークショーに登壇された松田まどかさんはすっかり大人の女性になられて、眩しいほどだった。小沼じぃじも嬉しかったろう。