Pinch

いちご白書のPinchのレビュー・感想・評価

いちご白書(1970年製作の映画)
4.6

ラストの暴力を辞さない強制鎮圧が語るものは何か。それを感じ取りそれについて考えるための映画だと思う。サイモンとリンダの関係はそのための伏線以上の意味はない。

当時の学生運動の是非、成否を問わず、象徴的な意味で、ラストシーンが私たちの生きる現実である。表面上は優しく正しく変わったのかもしれない。しかし、本当に変わったのか? 仮面の下は同じじゃないのか? 皆、心の底ではよく分かっている。どちらの側も正しく、なおかつ間違っていることを。でも、このままでいいのか? あんたはどうするんだ? この厳しい問いを投げかけることの意義は、今もやはり大きい。そしてあれから56年を経た今、あのハミルトン・ホールで同じことが…。

日本で流行ったあの歌は、この視点を完全に切り捨てている。当時コロンビア大学の某学部長が言ったとされる「いちご」ですらない。
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