ドナウ

ミッションのドナウのネタバレレビュー・内容・結末

ミッション(1986年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

川の流れや滝の飛沫の勢い、断崖の迫力、木々の生命力、そしてそれらを征服しようとする人の力強さ。以前、低画質DVDで見た時よりも断然素晴らしく圧倒されてしまった。このような映像や演技を見せられては映画ということを忘れて現実のように錯覚してしまう。正義の教会、悪の国家という構図では終わらせないところに好感が持てるし、たとえ放棄したとしても武器を手に取らなくてはならなくなる状況と、最後まで信仰を武器に争いに抗う姿は客観視できなかった。愛と力、神と人、理想と現実という問いかけに、各々が信じる正義のために行動し散っていく姿は、完膚なきまでに希望を打ち砕かれ、この世の不条理と共にカタルシスを感じた。「我々がこんな世にした」と自覚しながらも、欲に塗れた教会の有力者の瞳に映る原住民の姿は大きく肥えた“七面鳥”に見えたのかもしれない。どちらが生存者かわからないという語りと共に映し出されるあの子達は夢とも現ともわからない川を下る。
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