ドナウ

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのドナウのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

家族に流れる血と傷口から噴き出す血、それは石油の物語。

偽りの血によって繋がれた親子と兄弟、ためらう事なく裏切った弟もどきを撃ち殺す非情さを持つ彼なら息子に浴びせた言葉も本音なのではと思う、と同時に回想する息子との思い出もまた本心。あれだけかわいがっていたH・Wが聾になった途端当たりが強くなったのも、強引にミルクを飲ませる場面の“アレ”を思わせる強烈な違和感も、やっぱり捨て子という特別な関係のせいなのかなと思った。となると結婚も嘘で、裸でヘンリーと戯れる海水浴、弱っていく足、娼館での孤独は機能不全?同性愛?H・Wはきっと日記を見てヘンリーの嘘を見抜き火を着けた。「父さんは話を聞こうとしない」失った聴力は声を聞いてこなかった父親への罰だっんだろう。親離れすらも裏切りと言い放つこの男には事故も一種の裏切りに感じたのかもしれない…やっぱり捨てたんだろうな。人を欺き石油を吸い上げる石油屋と信徒を騙し金を吸い取る聖職者のペテン合戦、ダニエルはイーライの血まで吸い上げる。あのラストカットは絵画だ。見る気のなかったマグノリアも見てみようかと思うほどぶっ刺さった。晩年の辻村真人と納谷悟朗の吹き替え、お疲れ様でした。

地球の傷口は国境だけじゃないんだなぁ…。
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