お耽美主義

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのお耽美主義のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

本の引用ばかりする学生に自分の頭で考えてないって煽ったウィルが、今度はショーンから「君から学ぶことは何もない。本に書いてある」って指摘されたシーンが印象的だった。本で学んだ概念を知識として“知っている”だけで、他人を介して発生する愛や悲しみといった感情に“共感”できてはいないのがちゃんと見抜かれてる。ウィルが将来何をやりたいか分からなくて悩んだり、恋人や友人関係のように深い部分で人と繋がるのを無意識に避けてたりしたのも知識があるだけで空っぽな存在だったからなのかなって。

個人的には、生まれ持った才能に人生を縛られる必要がないって意見も、天性の才能だからこそ最大限に利用すべきだという意見もどっちも分かるな〜〜 と思った。凡人にはどれだけ頑張って努力を積み重ねても辿り着けない領域というのが必ずあるから、そこに到達できる才能を持った人が現れたら後押ししたくなるのも分かる。
ウィルの才能は数学の教授からしたら喉から手が出るほど欲しいものだろうし、親友のチャッキーからすれば宝くじ大当たりぐらいの価値があるから、たとえウィルが自分の才能に頓着がないとしても才能に“恵まれている”自覚を持つことは大事。

先天的な環境も才能も自分で選べないならせめてその後の人生はみんな自由に決められたらいいのに、その「生まれ持ったもの」で左右されるのが人生という現実的な映画でもある。ウィルがカウンセリングを受けられたのも元を辿れば才能があったからで、じゃあウィルのように劣悪な家庭環境で育った特別な何かを持ってない人が同じように地獄から抜け出せるのかといったら多分そうではないんだよ…
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