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真昼の暴動のmのレビュー・感想・評価

真昼の暴動(1947年製作の映画)
2.0
それぞれ様々な理由で脱獄不可能な刑務所にいる囚人たち。みなそれなりの過去があり、そしてその過去には恋する女がいる。

囚人たちには自分たちなりのルールがあり、それを犯す者はリンチで処刑することもしばしば。ところがある囚人を血祭りにあげたことで政府の強い圧力がかかる。温厚な所長は抵抗しきれず、次期所長の座を狙う看守長は次第にそのサディスティックな本性を露わにしていく。

いつも囚人を気に掛けるドクターの見守る中、囚人たちは昼日中に刑務所を脱走する作戦を決行する。



囚人の脱走を計画するリーダーに、デビューから間もないバート・ランカスター。あの恵まれた体格を生かした役で、しかもかなり若いランカスターが拝める。ランカスターってやっぱりリッチよね。裸でも貧乏人役でもどこか豊かな感じがする。

じわじわとサディズムを発揮するイカレ看守はヒューム・クローニン。ヒッチコックの『救命艇(1944)』や1946年の方の『郵便配達は二度ベルを鳴らす』での弁護士役など、脇役でいい味出してるが、今回もそんな感じで「すごく嫌なやつ」を上手く演じてた。

でも囚人たちは別に被害者でも何でもない。仲間をつるし上げるその手口はかなりエグい(人間をプレス機にねえ)。

そんな彼らが「娑婆にいた時の思い出話」と「それにまつわる女たち」を語るシーンが面白い。壁に飾った女のイラスト画に、囚人みんなが恋人の面影を投影してる。そのイラスト画が、まったく個性のない無表情な女のイラストというところがミソ。個性がない絵だからからこそ、全員がそれぞれの心の女を投影できるのだ。
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