ミシンそば

ロベレ将軍のミシンそばのレビュー・感想・評価

ロベレ将軍(1959年製作の映画)
3.4
昨日途中まで観て、残りを朝の仕事前に観終わった次第です。
同じネオレアリズモ作家と言う枠組ながら、恐らく作家としての経路は全く違うデ・シーカとロッセリーニ最初で最後の協働を謳っているが、デ・シーカは役者としての領分しか踏み込んでいない、純度100%のロッセリーニ映画であろう。

この映画の主人公は間違いなくカス野郎である。
前半たっぷり使って、彼の働く詐欺行為を存分に見せつけてくる(明確に戦時中であることを利用し、ナチスとも密に交際して、市井の人々の小さな希望を踏みにじっているから始末があまりに悪い)。
そんな男エマヌエーレが、ナチスによるパルチザン炙り出しに協力する羽目になって、自分のしてきたことの重さを思い知るのだが、絶対に“改心した”わけではないだろう。本人に思うところはあったろうし、金を無心して貰ったりもした女性の態度から、完全にエマヌエーレに善性がないとは思えないが。

自分にとってこの映画は、戦時中であることを利用した男が、その行為に対する認識の甘さを身をもって思い知る映画以上にはなり得なかった。
「成りすまし物」として観ても、凡庸ではないが上が普通にいる感じだ。