オーウェン

さらば友よのオーウェンのレビュー・感想・評価

さらば友よ(1968年製作の映画)
4.3
このフランス映画「さらば友よ」は、フランスを代表する大スター、アラン・ドロンがハリウッドから、当時まだバイプレイヤーだったチャールズ・ブロンソンを相手役に迎えて共演した犯罪映画の傑作です。

監督はジャン・エルマンで、「シンデレラの罠」の推理作家セバスチャン・ジャプリゾと監督のジャン・エルマンが共同でシナリオを書いています。

チャールズ・ブロンソンは、この映画の成功により、一躍スターの仲間入りを果たし、言ってみれば、アラン・ドロンはブロンソンにとっては出世のチャンスを与えてくれた大恩人になるのかも知れません。

アラン・ドロンが自らこの映画の企画を立て、共演者にチャールズ・ブロンソンを迎え、ブロンソンと顔を並べる事で、自分の美貌をひときわ際立たせようとしたのかも知れませんが、このもくろみはもろくも崩れ、結果としてブロンソンに喰われてしまった印象があります。

アルジェリア戦線帰りのアメリカの戦争プロフェッショナル、フランツ軍曹(チャールズ・ブロンソン)と軍医のディノ(アラン・ドロン)は、イザベル(オルガ・ジョルジュ・ピコ)と名乗る女のセクシーな魅力の虜になり、巧妙に仕組まれた罠にはまってしまいます。

金庫破りと警備員殺しの2つの犯罪が、いかにも彼等の犯罪のようにでっち上げられたのを知って、二人は怒り心頭に発するのです。

そして、フランツとディノは、自分たちを罠にはめた女への復讐を決意するのです。
そして、二人の男はいつしか奇妙な友情で結ばれていく事に。

最初は、事あるごとにいがみ合っていた二人が、金庫破りを通して互いに友情を感じ合うようになっていく過程が、うまく描かれていて、ドロンのホットな味わいと、ブロンソンのクールな味わいが、いい意味で化学反応を起こし、実にうまく融け合っていたと思います。

原作者で脚本も書いたセバスチャン・ジャプリゾは、よほど、この映画でのブロンソンが気に入ったらしく、後のルネ・クレマン監督のサスペンス映画の傑作「雨の訪問者」は、初めからブロンソンを念頭に置いて脚本を書いたと言われているほど、彼に心酔していたという有名な話が残っています。

また、この映画でうれしい驚きだったのは、ルネ・クレマン監督の反戦映画の秀作「禁じられた遊び」で可憐な少女ポーレットを演じていたブリジット・フォッセーが成長した大人の女優として出演していた事でした。
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