細谷しゅうへい

ノートルダムの鐘の細谷しゅうへいのレビュー・感想・評価

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)
4.6
音楽、脚本、絵の力どれをとっても最高峰。
ディズニー2Dアニメーションの最高傑作と言っても過言じゃない。
中学生の時に見てから時間を置いて見たけれどいかに当時は理解できてなかったかを痛感した笑

『ポカホンタス』とこの作品はディズニールネサンスの余波で作られた作品だと理解してるけど、今後これほど精神的にもルック的にも贅沢な作品は生まれるのかな。
この作品が作られた事がディズニーの懐の広さの証明と言える。

この作品の素晴らしい点は数えきれないけど、大きく3つあると思う。
まず、キャラ造形の深さ。メインキャラクター4人のプロットが骨太で最後までそれぞれの役割が設けられてる。
主人公でもあるカジモドは人を恐れ寺院から出れずにいたが、人の恐ろしさを知り人の優しさを知り失恋を知り友達を得る。そうしてモンスターと言われていた彼は人間となる。
このメインプロットを支えるように、
彼に人の恐ろしさや差別を教育し、出生の真実を伏せ、寺院に閉じ込めたフロロー。
人の優しさと恋心、そして人の為に行動する心の尊さ、友達の豊かさを教えたエスメラルダとフィーバス。

次に、簡単な勧善懲悪に整理せず複雑な人間の心の機微を描いてる点。
フロロー判事はヴィランとして描かれているし彼の気持ち悪さは間違いないけれど、彼を悪と言い切れないのがまた深い。
彼は祭司に咎められてカジモドを育てるだけの良心は持っているし彼は彼なりの価値観の中で正しく生きているつもり。
清く正しいはずの自分が差別対象であるジプシーのエスメラルダに欲情した事に自己矛盾が発生して結果的に自分の物になるか死かという極端な発想になってしまう。
冒頭でも提示されているテーマ
人か、怪物か
人間だったフロローは怪物となり
怪物だったカジモドは人間となる。

最後にアニメーション表現の凄さ
「sanctuary」のシーンはもうこれ全てのアニメーションの中でも一番凄いんじゃないか…⁇
あんな心震えたシーン他に見たことない
ディズニーアニメーションではこことアナ雪2のShow Yourselfツートップ…