炭酸水

圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録の炭酸水のレビュー・感想・評価

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昭和42年、不正入学や運営介入に抗議する反対運動は当局の機動隊を動員した弾圧で追い詰められ、十数人の学生がホールを占拠し辛くも闘争を続けていた。内部分裂、親との軋轢、起訴、逮捕─閉塞する闘争の内部を映した記録映画。時代の空気が生々しい。大学闘争の記録映画としては勿論60年代後半の大学生を捉えた青春映画としても傑作だった。いつ機動隊が押し寄せるかわからない学生ホールで過ごす夏休みという状況が既に物語を生んでいて面白い。弾圧が強まる中プールで遊んだり夜道を走ったりする破局を目前にしたモラトリアムが印象的で、
「なんか食べたいものない?おれなんでも買ってくるよ」
「スイカたべたい」
「馬ッ鹿、田舎者ォ」とか行き詰まる闘争をいかにして闘い抜くか議論し合う時よりも、そういう何気ないやり取りが等身大の若者って感じで親近感を覚えた。ただ管理体制を強化する大学の姿勢は現代においてもコロナ以後の変化に重なるところがあり、今見ても十分価値のある映画だったと思う。
炭酸水

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