こたつむり

ミリオンズのこたつむりのレビュー・感想・評価

ミリオンズ(2004年製作の映画)
3.4
本当に大切なものは、青い空と、君の笑顔。

とても爽やかな物語でした。
ふとしたことで大金を手に入れてしまった兄弟。
そのことによって、家族の関係が変わっていく…という物語なのですが、何しろ声変わりもしていない男の子たち(兄10歳、弟7歳)が主人公ですからね。人間の欲望がドロドロと蠢く展開にはなりません。

だから、申し訳ないのですが。
薄汚れちまった僕には物足りなく感じました。
特に弟の《ダミアン》が純粋すぎるのです。「困った人に寄付しよう」とか「正しいことに使おう」とか。情けないことに、その言動にイライラしてしまう始末。
あー。心が狭くてスミマセン。

それに物語の根底にあるキリスト教観も。
その方面に疎い僕には理解しきれませんでした。
《ダミアン》の妄想として“聖者”が登場しても、その背景が分からなければ、伝わるものも伝わらないのです。
あー。無信心でスミマセン。

そんな中で僕が着目したのは。
ダニー・ボイル監督らしい演出。
カメラの早回しや、シャープな空気感。
特に音楽面は最高でした。何しろ“現金強奪”の場面でMuseの『Blackout』を流すのですからね。いやぁ。監督さんの選曲は相変わらずツボです。
あー。俗物でスミマセン。

まあ、そんなわけで。
ハートフルな物語とスタイリッシュな演出。
まるで水と油のような組み合わせに翻弄される作品でした。それなりに楽しめましたけどね。

また、よく眼を凝らして物語を見つめてみれば。
“本当に大切なもの”を教えてくれる作品でもあります。特に強引ながらも爽やかな着地点は見事な限り。薄汚れちまった僕でも、少しは白くなれた気がしますよ。

だから、劇中のように大金を手にすることがあったら、きちんと老後のために貯金します。

え。警察に届けないとダメですか。
えー。マジでー。
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