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鬼婆のleylaのレビュー・感想・評価

鬼婆(1964年製作の映画)
4.5
生と性のエネルギーを感じる映像。光と影で見せる顔の表情が強烈ッ!

これぞ鬼婆(おにばば)。カッケーです。

ススキが一面に生い茂る地で、落ち武者から身ぐるみ剥がして売りさばき、穴に死体を捨て、たくましく生きている嫁(吉村実子)と姑(乙羽信子)。
ある日、息子と共に戦地に赴いた男が1人で戻ってくる。その男と嫁が密通し始め、姑はそれを止めようとするのだった…

嫉妬と焦燥に駆られ鬼婆となる音羽信子。監督は自分の奥さんに凄い役を与えたもんです。乳を放り出して寝る姿に野生味を感じました。

罰が当たる、因果応報とは、を見せつけられる民話を元にした作品。

乙羽信子と吉村実子の鬼気迫る表情
ギラギラとした佐藤慶の欲望
闇夜に真っ裸で走る男と女
般若面
風にうねるススキ
ラストの鬼婆の叫び…

プリミティブなストーリーなだけに、映像が鮮烈に記憶に残った。怖いのは鬼ではなく人間の心。

沼地のような大変な場所での撮影、俳優たちの体当たり演技はあっぱれでした。監督が「よく誰も病気にならなかった」と言ってた。破傷風の予防注射もしてないのだとか。フリードキンやロメロにも愛された作品。
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