盆栽

カリスマの盆栽のレビュー・感想・評価

カリスマ(1999年製作の映画)
3.6
生の執着心


 自然的なメタファーで溢れている黒沢清監督によるネイチャードラマ。一本の木を選ぶか、森全体を選ぶか。「世界の法則を回復しろ」というメッセージの意味とは。清ワールド全開の難解終末映画でした。

 画の不気味な雰囲気作りは流石は黒沢清。終始どんよりとした暗さで、静かに迫る脅威。そして呆気なく事を済ます。ただでさえ鑑賞中は脳をフル活用しないといけないのに、展開が次々とステップを踏んでいくので追いつけなくなる。森と一体化していく薮池の姿はホラーそのものではあるが、彼の前に現れる人達もなかなか怖い。全員が「救う」「生きる」ことに対する執着心の塊なので、理解し難い。なのに面白いんです、この映画は。

 意味が分からない、分かろうとすれば分かるのかもしれない。それなのに気付けばこの世界観にハマっている。僕もカリスマに振り回されているのかもしれません。個人的にはカリスマを犠牲にして森全体を守りたいサイド。何度も観れば桐山の思想に共感できるのかな。

2024.5.11 初鑑賞
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