すずき

黒く濁る村のすずきのレビュー・感想・評価

黒く濁る村(2010年製作の映画)
4.2
1978年、教会から献金を受け取り、その金で土地転がしして荒稼ぎする悪徳刑事ヨンドク。
しかし、ユ・モッキュンという不正を許さない男が来てから、献金は無くなってしまう。
ヨンドクはモッキュンを刑務所に入れるが、彼は刑務所でもカリスマを発揮、ヨンドクの手下さえ彼を心酔する。
ヨンドクはモッキュンに、更生したい奴らが集まって村を作る為、力を貸して欲しい、と協力を頼む。
30年後、モッキュンの訃報を聞き、長らく疎遠だった息子ユ・ヘグクが村に入る。
だがヨンドク村長と彼に従う村人は、ヘグクに長居させたくないようだった。
ヘグクは父の死と生前の行動を調べていくうちに、不審な点が浮かび上がり…

2時間40分の長尺で送る、web漫画が原作の韓国田舎村ミステリーサスペンス。
祟りじゃあ〜っ、の因習村ではなく、金と権力への欲望、人間の悪意が根底に渦巻く村。
一般的には評価低いみたいだけど、自分は2時間40分ダレずに楽した!
確かに、よく考えると映画的インパクトを優先しただけに、理にかなってない行動も多く、ツッコミ所は多そうなんだけどさ。

オープニングで掴みはバッチリで、ヨンドク刑事とモッキュンの出会いと、村の始まりが描かれる。
このモッキュンという男が、イエス・キリストのようなカリスマ聖人で、以降劇中現在では故人なのに存在感を発揮しまくる。
彼が悪意渦巻く村の中でどういう立ち位置だったのか、ストーリーの謎に惹きつけられた。

あともう1人良かったキャラクターがパク検事。
過去に主人公に「お前顔からして容疑者だな、さっさと罪を認めろや」と発言したのを録音され、左遷されたマヌケなクズ検事。
だから主人公を逆恨みしてるんだけど、事件に巻き込まれた主人公が頼れるのも、検事である彼しかいない。
で、主人公が危険と知るや、「勘違いするな、お前を倒すのはこの俺だ!」とツンデレムーブで助けちゃう。
しかも有能なの笑う。最後の最後で大ポカしちゃうけれど。

村の始まりとなる教会の事件と、村の終わりであるモッキュンの死の真相は、劇中ではハッキリと語られずにぼかされる。
しかしラストの表情を見ると、もしや…?と思える、最後までミステリーなオチ。
ただ教会の事件については、警察の言う通り集団自決じゃないかな、とは思うけれど。