三樹夫

コミック雑誌なんかいらない!の三樹夫のレビュー・感想・評価

3.5
「I can't speak fuckin' Japanese」
これは内田裕也の世相を斬る+メディア論および大衆論なのか。マイクに始まりマイクに終わるが、マイクはペニスだったと内田裕也流のメディア批判を展開。マイクを向けられた際の模範解答は「I can't speak fuckin' Japanese」だ。ラストは豊田商事の会長刺殺で終わるが、実際だと暗殺犯が乗り込んできてもマスコミは何もしなかったのが、この映画では内田裕也が部屋の中に乗り込んでおり、彼なりの矜持を感じることができる。ロス疑惑とか豊田商事とか芸能スキャンダルの報道を見て思うところがあったのだろう。ただ内田裕也の思うところあってからの結実先は常人ではよく分からないものになるけど。宮沢りえがヘアヌード写真集『Santa Fe』出した時には、クソ~俺も脱ぐぞとスポーツ紙でフルチンになった男だし。内田裕也理論はどういう方程式なのかよく分からん。

ウォーターゲート事件に感銘を受けた早稲田政経卒のジャーナリスト志望の男が芸能レポーターをやっている。「恐縮です」と梨本イメージのレポーターだが、とんでもなく喋るのが下手でカミカミの上にポップさのかけらもなくて笑ってしまう。おニャン子のレポートしてる時の不純物感が凄い。挙句に三浦知良に完全に論破されて爆笑する。内田裕也の芸能突撃レポートパートはフィクションの部分もあれば、ヤクザなどガチで突撃している部分もあり、虚実入り混じっており観ていて不思議な気持ちになってくる。
松田聖子と神田正輝の挙式レポートでやらかして、風俗レポーターへと回されるが、社会正義を感じたのだろうか豊田商事のニュースに関心を抱き始める。特に大きなきっかけは日航ジャンボ機墜落事故のレポートに行ったことだろう。ここでジャーナリズムとは芸能レポーターとはと葛藤で街を彷徨い始める。ただ風俗レポーターやっている時結構楽しそうだった。
豊田商事の事業は金も碌にないくせに金の購入という偽の契約で代金と引き換えに証券を渡し、最終的には紙切れだけが残るという悪徳商法で、一人暮らしの老人を狙い何時間でも居座り肩を揉むなどしてまで取り入り金を巻き上げていたが、実際の手口が映画内で再現されている。

相変わらず主人公は内田裕也そのものというか、妻の役を渡辺えり子が演じているがどこか樹木希林みがある役者がキャスティングされる。そして妻はもういないという孤独演出をぶち込んでくるが、内田裕也本人にしか見えない。
内田裕也人脈と謎人脈でごちゃ混ぜなキャスティングになり、豪華というか闇鍋感というか、拘束日数1日の人たちが次々出てくるのがワイドショー的にも思える。
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