伊達巻

恋人たちの伊達巻のレビュー・感想・評価

恋人たち(1958年製作の映画)
5.0
恋は眼差しから生まれる。どこまでも美しいこの夜が終わらなければいいのに。しかしやがて太陽は東から顔を出し鶏の鳴く朝が来る。嫌でも不安な朝が来るのだ。全編を彩るブラームスの旋律の麗しさも相まって、まるで透き通った砂糖の海を泳いでいるかのような甘美さ。キチリと整えられた豊かな髪を振り解いて梳かす仕草の燃えるような静けさ。揺れる振り子をそっと止める。恥らいは遠くの森に置いてきたから。夜明けまでの時の流れは閉じた目で見る夢よりもずっと刹那的だ。深奥な表情をしたり大口開けて笑ったりするジャンヌ・モローの無限の魅力は言葉で例えるまでもない。もうずっと素晴らしすぎて絶えず涙が出てきた。「人は幸福に抗うことはしない」 のである。借りてきたDVDは画質良くなかったし、ラスト3分で止まる(!!)しで(媒体かえたら観れた)、環境だけは微妙だったのでいつかバキバキのリマスター版をデカいスクリーン観たい。この映画のシネスコは絶対にスクリーンに映える
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