松原慶太

野獣死すべしの松原慶太のレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1959年製作の映画)
3.7
松田優作版「野獣死すべし」と比較して観賞。表面的には真面目な英文学の大学院生である主人公・伊達が、冷徹に犯罪を重ねていくすがたを描いている。

昭和三十年代の風景、モノクロの映像、ロジカルな脚本、BGMはジャズ。日本の湿った風土のなかで、あたらしいタイプのハードボイルドをつくろうとしていた意気込みは伝わる。

伊達というキャラクターがどうして造形されたのか、その時代的背景を説明しようとしてのことだろうが、とくに前半部分は、大学生や刑事たちが生硬な議論を重ねる場面が目立つ。ここらへんが、いま見るといかにも垢抜けない。

しかし団令子ってのは、なんでいつもヒロイン扱いで出てくるのかな。どうみても美人の範疇からは外れていると思うのだが...。
松原慶太

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