あかっか

県警対組織暴力のあかっかのレビュー・感想・評価

県警対組織暴力(1975年製作の映画)
4.7
かなり前に観たけど例の文太・山城ペアvs川谷卓三の変則マッチシーンしか記憶に残っておらず、『狐狼の血』を観た後で「観直さなきゃ!」と思い再鑑賞。大正解でした。

ヤクザ同士の抗争が激化する中、ヤクザと癒着する悪徳刑事・久能(菅原文太)の暗躍と県警本部から派遣され、クリーンな捜査を推し進める海田警部補(梅宮辰夫)との対立を描く。

『仁義なき戦い』の深作組で東映実録映画路線の一本。主人公・久能がヤクザではなく刑事であるところが本作最大のポイント。この視点を変える、視点を加えることで『仁義』との差別化が見事に図られている。

とにかく怒鳴る、殴る、蹴る、刺す、撃つ。怒涛のごとき迫力とスピード感で一気に見せる。これだけだとただのバイオレンス映画なのだが、ここに練りに練られたリアルかつ秀逸な脚本が重なり、正義とは何かを問いかける。

登場人物の誰に感情移入するかによって見え方は変わってくるが、どの視点から見ても凄まじい映画であることは間違いない。特にラストシーンの呆気なさは逆に心に響くように感じた。

観直してはっきりわかった。『狐狼の血』は『仁義』ではなく完全に本作へのオマージュでした。(『狐狼』はこれにミステリー要素もプラスしているので、ただのオマージュでは終わっていない)
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