映画好きなリコ

夕なぎの映画好きなリコのレビュー・感想・評価

夕なぎ(1972年製作の映画)
3.4
こういう映画を見ると、男って生き物は、女とつがいになるために競争して、仕事して、成功しようとするのかな、と改めて思わされます。

どのような態度を示すことで、男女の信頼関係は続くのか?男のどのような態度がNGだったのか?イブモンタンにもサミーフレイにも、まったくそんなつもりがなくても、女の捉え方一つで、それぞれの恋は簡単に破局を迎えてしまいました。
一見理不尽にも見えますが、女の求めることがわからなかったのは男、そんな女を求め続けるのも男…愚かなんだけれど人間喜劇的な、とらえどころのない恋愛関係が容赦なく描かれていました。
女はいつも優位にいて、敗者となったふたりの男は最初はバチバチのライバルだったにも関わらず、慰め合うように仲良くなって、人と人のつながりが生まれるという…何とも知れないおかしさと温かさで、面白い人間讃歌だったと思いました。
現代の感覚では、ある意味悪女、倫理観の欠けた女とレッテルを貼られてしまいそうなヒロイン像ではありましたが、当時の空気感に合わせた女の自立という説得力を持っており、興味深く鑑賞できました。