kazマックスグローバーレッド

プロジェクト・ニムのkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

プロジェクト・ニム(2011年製作の映画)
5.0
再鑑賞&再レビュー
リブート版『猿の惑星:創世記』の元ネタが旧『猿の惑星・征服』とこれ。70年代にチンパンジーが人によって人間同様に育てられ、手話を覚えて人間社会に適応出来るかという大学の実験研究を追ったドキュメンタリー。

産まれて間もなく母親から引き離されたチンパンジーのニムは人間の代理母ステファニーに母乳で育てられ、手話を覚えて服を着せられ食事はフォークとナイフを使い、水洗トイレも使用して人間と全く同等に育てられる。

しかし大学教授とステファニーの間に意見の相違があり母親役は別の女性へ交代。こうして数年の間に何度も母親を変えられて最終的には新たな母親役ローラが担当する事になるけど、ニムは徐々に不信感を覚える。やがて自我が芽生え自分は周りと違うと認識して心を閉ざすようになったニムは発情期がきて凶暴化、ローラを襲ってしまう。

そして大学の予算が足りずに研究は打ち切られ、ニムは霊長類センターに送られる。昨日まで人間の子供と同じように育てられていたニムは今日から狭い檻の中で餌を与えられながら生活。

更に追い打ちをかけるが、この霊長類センターも経営難で またまたニムは次の施設へ送られる事に。そこは製薬会社の研究所で新薬を開発する為に肝炎などのウィルスをチンパンジーに注射して生体実験をする施設。以前の施設ではまだ普通に生活は出来ていたのにここではテーブル台の上に縛られ様々な新薬を投与され血液を摂取する実験に使われる。

『猿の惑星:創世記』との違いは猿が革命を起こしてないだけで後は全部事実ということ。また旧『猿の惑星・征服』でシーザーが人権ならぬ猿権を訴える演説シーンは実際にこういう事が行われていたという真実を知れば単なるフィクションとして観ることは出来ないです。

人として生きるように強要された後に見捨てられ全ての尊厳を奪われたニムを見ていて胸が張り裂けそうだった。この世で一番好きなドキュメンタリーで十数年ぶりに再鑑賞したんだけど、やっぱり観るのが辛かったな。