愚か者

ケルベロス 地獄の番犬の愚か者のレビュー・感想・評価

ケルベロス 地獄の番犬(1991年製作の映画)
3.5
ワンシーンごとが、とてもアニメ的でおどろきました。基本はロードムービーですが、ただのオシャレなそれっぽい映像ではないです。初見とは何故か思えない、けれど絶対に自身の記憶には無い情景。こういった空間の切り取り方がやはり天才的だと思います。日常の何気ない時間経過とフーーーと一定のBGMが織り成す感情に訴えかけるシーンの連続。そこ、そんなに長くなくていい。と思うシーンもあるので好みが別れるのは百も承知ですが、私は大好きです。他の誰にも作れない世界だと思います。劇中主人公は食事をしているシーンが多いです。どうしたらいいのか分からない主人公が、生きるため“取り敢えず”食べ物を口にしているシーンは、どこか悲しく、どこか微笑ましいです。ただ途中のコメディパートがとてもノイズでしたし、やはり不必要に長い気がしました。ストーリーもやりたいことが分かりますが、これは本来短編映画の内容だな、と思えてしまいしました。クライマックスのバトルは、描写、画角、テンポ全てが以降の押井守監督のアニメテイストに脳内で変換され「らしい!」と感動しました。
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