富樫鉄火

サンダカン八番娼館 望郷の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

サンダカン八番娼館 望郷(1974年製作の映画)
5.0
#125 逝ける映画人:金宇満司
ほぼニュープリントだった。
これはほんとうに素晴らしい映画で、原作はノンフィクションなのに、ちゃんと「劇映画」と「記録映画」の両方の要素を兼ね備えている。
現代のマレーシア、数年前の天草、明治大正昭和のサンダカンと、3つの土地と時代を並行して描いていながら、まったく混乱していない脚本も見事。
田中絹代を筆頭に、栗原小巻、高橋洋子、水の江滝子の4大女優が見事で、まさに「火花を散らす」演技合戦という感じだった。
特にラスト、小巻と絹代の号泣シーンは、何度観ても、こちらも涙をこらえきれない。
金宇さんのカメラも美しい。
天草の美術セットも素晴らしい。
熊井啓さんの傑作だと思う。
日本の女子高は、本作を芸術鑑賞会で見せるべきではないか。
富樫鉄火

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