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サンダカン八番娼館 望郷のodyssのレビュー・感想・評価

サンダカン八番娼館 望郷(1974年製作の映画)
3.5
【歴史の一面に光を当てる労作】

山崎朋子原作のノンフィクションを熊井啓監督が1974年に映画化したもの。 

からゆきさんと呼ばれた、戦前の日本から東南アジアに娼婦として売られた女(若年期=高橋洋子)の体験、そして老いて戦後日本にひっそりと暮らす彼女(老年期=田中絹代)から実体験を聞き出そうとする女性史研究者(栗原小巻)の苦労を描いている。 

栗原小巻がどうも研究者に見えないのが難点だけど、田中絹代と高橋洋子は好演しており、歴史の狭間で忘れ去られた人間の苦闘をこのような形で残そうとした原作者や映画監督に敬意を払うべき労作である。
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