Jimmy

口紅殺人事件のJimmyのレビュー・感想・評価

口紅殺人事件(1956年製作の映画)
5.0
フリッツ・ラング監督による「リップスティック・キラー(口紅殺人鬼)」を描いたクライム映画の快作!

原題は『While the City Sleeps』であり、「街が眠っている間に」という意味だが、街が眠っている間に起こるのは殺人事件。
舞台はニューヨーク。ある女性の部屋に、ドラッグストアの配達員が品物を届けに来る。女性の隙を見て、その部屋の鍵を開けられるようにした男は、再びやって来て、その女性を殺す。口紅で残された「Ask Mother」の文字。凄い冒頭シーン。最初から犯人が判っちゃう…刑事コロンボみたいだ(笑)
その殺人シーンに続いて、映画タイトル→スタッフ→キャストのタイトルロール。
一風変わった作りである。

そして新聞社の風景となり、カイン新聞社では病気治療中の社長が殺人事件を知って「新聞にこの事件を“LIPSTICK KILLER”(口紅殺人事件)として大々的に報道しろ!」と指示する。「世の中には口紅を使っている女性はたくさんいる。その女性たちを怖がらせるのだ!」と指示する新聞社の社長は「おいおい…」という感じ。
社長の急死を受けて仕事するのは、その息子だが新社長(ヴィンセント・プライス)は仕事に疎いため、3人の男たちに競わせて仕事をさせる。彼らは出世しようとライバル根性丸出しで互いに競い合う。
そんな3人の横で、一人だけ出世争いをしない男=エド(ダナ・アンドリュース)がいる。彼には同じ新聞社で秘書をしている女性=ナンシー(サリー・フォレスト)という恋人がいる。

そんな中、次なる殺人が起こる。今度も女性が殺されたが、殺害された部屋に残されていたのは漫画本。漫画本のタイトルは「THE STRANGLER」(絞殺魔)なる危ない雰囲気。
そこで、残された手がかりからエド(ダナ・アンドリュース)はテレビ番組で犯人の特徴を次々と述べる。テレビを見ていた犯人は、エドの述べる犯人の特徴がことごとくピッタリなので焦りだす。ダナ・アンドリュースは「今は名無しの犯人だが、近いうちに誰だかわかるだろう…」と犯人を挑発する面白さ。

そして、このあと、意外な展開を見せながら、物語が進んでいくのだが、長くなるので割愛。

しかし、殺人事件を解決しようとする物語を描きながら、次から次へと男女のロマンスも描くあたりは、さすがフリッツ・ラング監督。
Jimmy

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