富士山

タクシードライバーの富士山のレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.0
オチはこれでいいのでしょうか。ラストまでは、大成功したわけでもないけど、落ちぶれたわけでもない、ヒーローにも極悪人にもなり得ない、その他大勢のアメリカ人が漠然と行う、説得力のない暴力を見事に描き出していました。豊かな社会の相対的な絶望感が巧みに説明されており、日本の動機泣き犯罪でも共通するものを感じられると思います。しかし、ラストでいきなり一般的なヒーローになってしまうのはどういうことでしょう。王道のヒーローになるには良識が欠如していることを示しておきながら、そのままのキャラクターで道を外れた女の子を真っ当な道に戻す良識的なヒーローになってしまうのは、にわかに納得できない。しかも、これをグロテスクなものではなくて、さも当たり前のように描いているところにさらに当惑しました。
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