広島カップ

ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライトの広島カップのレビュー・感想・評価

3.8
ビル・クリントンがコンサート前にステージで挨拶したり、コネと財布に物をいわせたに違いないと思われる最前列の観客の顔を見ても判る通り、セレブばかりを相手にしたに違いないコンサート風景。
NYのビーコン・シアターという場所のステージ装飾も思い切り贅沢な造りでギンギンギラギラのライトがタイトル通りにそこを照らす。
かつて「♪貧しい少年にはロックンロールを演る以外何がある。眠たいロンドンにはストリートファイティンマンの居場所は無い」と歌っていた彼らはこんなシチュエーションで演るとかえってモチベーションが下がるのではないかとも思うのだが、今の彼らには全くそんな風も無さそう。
時々挿入されるデビュー当時の白黒ステージ風景が彼らが失った若い頃のがむしゃらさを浮き上がらせてしまう。
それにしてもスコセッシは何故彼らが御長寿バンドである事を強調する作りにしてしまったのだろうか。気骨があるロックバンドにとっては逆に迷惑な話ではないかと思うのですが、ストーンズぐらいになると「もうそんな事どうでもいいよ」ということなのだろうけど。
そんなことを思いながらも、ワザとやっているんではないか?と感じるほど何処かで一回は間違えるキースのギターリフには無条件にやられてしまう。

最後の挨拶で四人が肩を組んで客席に頭を下げている姿を見ていると、嗚呼もうこの四人は揃わないんだよなという感慨を深くするし、次は誰だろうなどと極めて不謹慎な思いも一瞬してしまう。全体に時の経過を強く感じるライブ映像だった。

スタジオ録音バージョンとは違った崩し方が絶妙な曲が好きだ。「サム・ガールズ」「ファー・アウェイ・アイズ」なんかが良かった。
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