あさ

39 刑法第三十九条のあさのレビュー・感想・評価

39 刑法第三十九条(1999年製作の映画)
4.3
昨日今日で何件の性被害を聞いただろう。被害者が2歳、13歳未満の女児。そして日本では犯罪者たちの刑が重くなることは確信を持てない。ずっと苦しくて、どうしたらいいのか本気で分からなくて。そんなタイミングで見るには、あまりにも完璧なフィクションだった。

被害者に小学1年生女児が出てきます。要素でありネタバレでないから書くけど。昨今起きたケースにすべてが重なる訳ではないけれど、今も見えているグロテスクはこれだ。

刑法第三十九条、心神喪失の人がした違法行為は「罰しない」、心神耗弱の時は「刑を軽くする」。
この法も人を守るのかもしれない。が、どうだろう。自分の愛する人を殺されて、その犯罪者が裁かれずのうのうと世に出るということは。その社会の中で、いずれすれ違うかもしれない世界の中で生きていく事。そもそも今回が初めてじゃない。法とはなんなのか。人は裁かれているのか、人類は平和になんてなれるのかと疑問に思うことは。そして、きっとなれないと思ってしまう。

性犯罪、殺人、いずれも絶対に取り返せない。お金や時間では解決できない。こればかりは、絶対に許されてはいけないんじゃないか。甘く見過ぎていい問題な訳ないじゃない。なのに余りにも許されるものが多すぎる。このままだったら本当に生きていく事が辛い。

私は今見てよかったなあと思ったけど、鈴木京香のシャツ裂かれて胸元あらわになるシーン要らんだろ、とも思う。透けて見える視点が気持ち悪いってば。
終盤、盛り上がっていくにつれカメラがユッサユッサなるの、気持ち悪さが助長されるので映画館で見てたら吐いてた気がする。

なんか本当に馬鹿だけど、マジで法学部受け直して司法試験受けようかなと思うくらいには今何したらいいか見失ってる。どうせ何もできないくせに。じっとしている事が苦しいんだ。そしてこんな時に文化の力を信じられなくなっているから、もう私は何したらいいかわからないんだ。(けど、まあフィクションだけどこの映画見て私はちょっと救われたから文化には力があるんだけどね‼️)
ボソボソ喋ってて聞き取り苦戦してたけど見てたら慣れたし、全役者の演技が素晴らしかった。

📝観てた時のメモ

・飛び交う鳥、埋まる首…これは『異端の鳥』か…?(観てないけど)

・鈴木京香ともう一人、精神鑑定人そんなに小声…?→見てたら段々「まあ小声にもなるわ」と思った。

・序盤、樹木希林の「気の迷いでしょう」「死刑なんて人間がする裁きではないんです」→そうかな?気の迷いで人が殺されちゃ困るよ。すぎた。
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