さりさり

セーラー服と機関銃のさりさりのレビュー・感想・評価

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)
4.5
平凡な女子高生・星 泉 (ほし いずみ) が、ある日突然ヤクザの組長に襲名される。
組員たった4名の目高組。
やがて目高組は麻薬事件に巻き込まれ、組員を殺された泉は、対立する組織に乗り込むが…。

セーラー服姿で機関銃をブッ放し、恍惚な表情で口にするあの名台詞「カイ・カン…」
間違いなく薬師丸ひろ子のために作られた、薬師丸ひろ子のための映画だろう。
正直、ストーリーにはかなり無理がある。
でもそんな細かいことは、この際どうでもいいのだ。
これは弾けるような若さ、繊細でありながら強く凛々しい薬師丸ひろ子を堪能する映画なのだから。

最初から最後まで彼女の魅力でいっぱいだ。
ただ瑞々しいだけのアイドル映画ではない。
相米慎二監督はかなりハードなことも要求している。

登場シーンはいきなりのブリッジ。
(ちょっとよく意味はわからない)
セメント浸けにもされちゃったりする。
(顔までしっかり浸かってる)
機関銃乱射シーンでは実際に頬にケガをして流血したのだが、カメラは止めず、そのまま回し続けられる。
(痛々しい)

公私ともに初めてだったらしいキスシーン。
このシーンのあと、彼女は号泣したらしい。
なんと純粋なこと。
一生に一度の大切なファーストキスを、映画のために使ってしまった。
哀しかっただろうに。
(よりによって、相手はオジサン)
でも、あのキスシーンは美しかった。
大人への階段を、彼女は確実に一歩上がったはずだ。

それは主題歌が流れるエンディングシーンでも実に巧妙に表現されている。
子供と大人の微妙な境目、大人にはなりきれないけれど、もう子供ではない。
そんな繊細な心境を、セーラー服と赤いハイヒールで表現した相米監督、お見事である。

これは薬師丸ひろ子のための青春ヒストリー。
名作だと思う。

*****

親愛なるフォロワーのアギゴンちゃんと初めて繋がったのが、この『セーラー服と機関銃』でした。
アギゴンちゃんのコメント欄でドキドキしながら「はじめまして」と送ったのが、まるで昨日のことのようです。
大好きなアギゴンちゃんとの縁結びともなった大切な映画。
その時のことを思い出して、この映画を観ました。
アギゴンちゃん、いつもありがとう。
そしてこれからもずっとよろしくね。
さりさり

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