けーな

ヘンリィ五世のけーなのレビュー・感想・評価

ヘンリィ五世(1945年製作の映画)
3.5
話の内容がどうと言うより、映画として、とても素晴らしい作品だ。構成の仕方と、彩り豊かな映像美に魅了される。映画史上に残る傑作だと言ってよいだろう。

これが、第二次世界大戦中に作られたってことに、まずびっくり。この時代に、カラーで撮っていたことに、何より驚くし、その色合いが、とても鮮やかで美しいのだ。もちろん、現在作られている映画に比べたら、荒い画像だけれども、色鮮やかな映像に、とても目を引かれた。特に、途中からの、アジンコートの戦いの場面の色遣いが、とても見事で、素晴らしかった。

舞台は、ロンドンにあるグローブ座。シェイクスピア作品を上演する劇場だ。今作は、1600年の設定で、グローブ座で、「ヘンリィ5世」が上演され、それを観客が楽しんで観ている様子を描いており、映画を観ている者も、観客と一緒になって、舞台を鑑賞している設定になっているところが、面白い。

また、初めに、口上役(語り)が登場し、アジンコートの戦いを、小さな円形劇場の舞台では表現し切れないので、観客に、想像して欲しいと説く。みんなの想像力次第だと。だから、アジンコートの戦いの場面になると、劇場から、屋外のロケに切り替わるのだ。本来は、舞台で演じられているけれども、皆の想像力で、屋外に見えてくるのだよっていう演出なのだ。

そして、その屋外での、戦いの場面が、とても色鮮やかで、目を引いたのだ。青い空と鮮やかな緑の草原の中を、カラフルな布を掛けた馬が並んで走るシーンが、圧巻だった。

話の内容としては、シェイクスピアの「ヘンリー5世」に忠実。

ヘンリー5世を演じるのは、ローレンス・オリヴィエで、今作では、監督としてメガホンも取った。ヘンリー5世の河童みたいな髪型に笑っちゃうけど、この時代の髪型なのだろう。 ローレンス・オリヴィエ監督主演の「リチャード3世」も観てみたい。

Filmarksさん、ジャケット写真を入れて欲しい。それに、こういう映画こそ、サブスクで配信もして欲しい。

映画としては、もっと高得点をあげたいのだけれど、シェイクスピア自体が、やっぱり、どうも苦手なので、点が伸びません…
けーな

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